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無害で陰気で愉快な空想を


会社にミサイルでも落ちないか、と空想する。

もちろん実際に落ちたらそれはそれで大変なわけだけど、会社にミサイルが落ちる、という空想をする事によって俺は愉快になる。崩壊する社屋、舞い散る書類、逃げ惑う社員たち・・・・・・
梶井基次郎の代表作『檸檬』では、主人公は爆弾に見立てた檸檬を積み上げた画集の上に置いて書店を立ち去る。あれも気分が晴れるような愉快な空想ではなかったか。

スコセッシ、コッポラ、ウディ・アレンの三人が監督した『ニューヨーク・ストーリー』というオムニバス映画がある。見たのはだいぶ前の事で、内容はほとんど忘れてしまっているのだけど、ウディ・アレンが監督した作品の中で今でも覚えているシーンがある。
主人公の冴えない中年男を例によって監督自身が演じており、その主人公には何かと口うるさい過干渉の母親がいる。主人公はそんな母親を疎ましく思っている。ある日、二人はマジックショーに行き、そこで母親がステージに呼ばれ、箱に入れられサーベルで串刺しにされるという事になる。この時カメラは、主人公の愉悦に浸るような恍惚とした表情を映し出す。この恍惚は、母親がいなくなって欲しいという潜在願望と眼前の光景が合致した事によるものだ。マジックという装置が愉快な空想を完成させている。

以前、会社の上司とFPSをプレイしていた時期があった。FPSというのは、つまりテレビゲームのジャンルの一つで、自分が兵士となってやり合う戦争3Dアクションゲーム。これがオンライン対応だったので、各々が家に帰った後に一緒にプレイしていた。ゲームは15人対15人に分かれ、銃で撃ち合うわけだけど、俺も上司もあまり上手ではなかったが、俺の方が若干成績は良かった。一緒にゲームをするなんて仲がよいんだな、と思われるかもしれないが、特段そういう事はなかった。むしろ上司に対する普通の感情として、日頃疎ましく思ってさえいたし、将来偏屈じじいになりそうな頑迷な性格に閉口する事も多々あった。

それはそれ、これはこれ。ある日、敵味方に分かれた我々はいつものようにゲームを楽しんでいた。ふと草むらの茂みに視点を移すと、上司のプレイするキャラが背中を見せて銃を構えている。頭隠して尻隠さずとはこの事だなと思い、さっそく銃で蜂の巣にしてやろうと考えたのだが、俺は考えを変え、銃をナイフに持ち変えて、後ろからこっそり忍び寄り、ナイフでサクッと上司を昇天させた。
なんとも言えない陰気で残忍な嬉しさがあった。この時の俺は、ウディ・アレンのように恍惚とした表情を浮かべていたに違いない。

ミサイルを落としても、書店に爆弾を置いても、人がサーベルで串刺しにされても、上司をナイフで抹殺しても、それが空想上なら問題ない。それだけで気分が晴れるという事がある。
何でもいい。空が飛べたら、宝くじが当たったら、超能力が使えたら・・・・・・
愉快な空想、それは重苦しい日常を突破しようと試みる頭の中の遊戯だ。
人生の憂鬱を一時だけやり過ごす溌剌とした要素になり得るのだろう。


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2016/01/12 01:10 |雑記COMMENT(2)TRACKBACK(0)  

コメント

こんばんは。
なんだかこの話はドキドキしました。それにしても文章が上手くて過去ログも愉しく読ませてもらってます。プロの方ですか?^^;それから、昔ブロ友にセルセさんて熊本の男性のかたがいたのですが
ものを見る角度や感性がすごく似ていて驚きました。
映画や音楽にも精通してるところ。引き合せたくなりました。友達になれるか似すぎて全くダメかどちらかです。いまはセルせも何処に行ってしまったのやら笑
長文すみません^^;では、またコメントしませんが^^;読ませてね。

No:218 2016/01/12 22:03 | ちさ #- URL [ 編集 ]

>ちささん

こんばんは。
ドキドキというのは意外でしたが、嬉しいです。
プロではございませぬ。ありがとうございます。

セルセさんという方、実は私なのです。というのは冗談です。
どんどん読んでください!

No:220 2016/01/13 07:42 | pipopan #- URL [ 編集 ]

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